チプルママ vol. 1
以前よりチプルは、膵臓がんについてアレコレ書いてきました。最近は、しばらくお休みしていましたが。
それもこれも、チプルママが膵臓がんだったので、ちょっぴり詳しくなったりしたからです。
そんなチプルママが膵臓がんと診断されたのは、2003年の 2月。ステージ IV a というぎりぎり末期な進行状態でありながら、他の臓器への転移も見受けられず、膵頭部十二指腸切除の摘出手術を行い、TS-1 とジェムザールによる抗がん剤治療を実施することになります。
外科手術後、5年の間に他臓器への転移が見受けられなかった場合、そのがんは、概ね完治したと判断されるそうです。俗にいう「5年生存率」というものです。
しかし、チプルママは手術後 1年経った 2004年 3月ごろに、肝臓への転移が見つかってしまいました。
がんが大きくなるには、数年から数十年の年月がかかるそうです。
つまり、膵臓がんの摘出手術を実施したころには、検査などでは見つけられない状態のがん細胞が、すでに肝臓に転移していたことになります。
こうなっては、他の臓器への転移も予想されるため、再度、外科の手術をすることはないそうです。
抗がん剤や放射線治療、あるいは民間療法といった方法での治療となります。
残念ながら、チプルママは今、体力的な面や副作用と効果を考えて、抗がん剤の治療をストップしています。数週間の間に腫瘍マーカーの数値もものすごく上がってしまいました。腹膜への転移、肝臓内に胆汁がたまっており、右横隔膜部分に胸水もたまってしまっているそうです。胆汁を抜くために、お腹に穴をあけてドレーンを通しています。
今は、背中から腰の痛みを押さえるため、デュロテップパッチという貼り薬を使っています。この痛みが取れないと、ベッドから起きてトイレに行ったりすることが困難なためです。食欲が出ないのは、胃の出口部分に転移したがんがあるためだそうです。今は IVH という点滴で、栄養と取っています。
家族として何をやるべきなのか、何をしてあげればいいのか、何かよい方法はないのか‥‥。この 2年間、できる限りのことはやってきたつもりでした。どこかに落ち度はなかったか必死に考えながら、ギリギリの詰め将棋を 2年間続けてやっている感覚です。
ただ、がんばってもどうにもならない現実がそこにありました。突きつけられたハードルは、ものすごい高いものでした。
チプルママは、そのハードルを必死になって越えようとしています。
本人が越えようとしているところを、家族が悲観的になってはいけないと考えています。だって彼女は、たったひとりで 3人の子供たちを育てあげた人だから。大丈夫、まだがんばれます。がんばってもらいます。チプルたち家族もがんばります。親孝行をさせてください。まだ、恩返しができていません。
2月 7日は、チプルママの 63歳の誕生日。今年もケーキを買ってお祝いしましょう。そして、春になって暖かくなったら、温泉に行きましょう。 NewMINI に乗ってドライブに行きましょう。
2人でまた、お買い物にいきましょう。ポイント貯めて喜びましょう。おいしいタンメンを食べに行きましょう。
まだ、大丈夫。
あなたのチカラを信じています。
チプルママ vol. 2
というわけで、しばらくはチプルママの闘病日記が中心になるかも。
前回 IVH で点滴をして、と書きましたが、ちょっと早合点でした。
お医者様のお話で、食欲の状況をみて明日にも IVH(首のあたりから点滴をして、腕の点滴よりも高カロリー摂取をすること)を実施すると言っていたのですが、思いのほか食欲があり、通常の手からの点滴でよいでしょう、ということになりました。
食欲があるといっても、普通の人に比べたら、半分以下ですけどね。
それでも、家で養生しているころよりは食欲が出てきているようで、痛み止めの治療ってすごいなぁ、と感心。
結局、[痛いから動きたくない] - [食事の用意をするのも大変] - [痛いからトイレに行くのも大変] - [水分をできるだけ取らない] という悪循環になってしまっているんですよね。
前回書いたデュロテップパッチを 2.5mg 使っていたのですが、あまり有効な効果がみられず、5.0mg に増やして使っています。また、併用してロピオンという薬を点滴で使うようになりました。
これが効果てきめんで、痛みが相当無くなっています。
ベッドで起きて食事を取るのが、楽しそうな感じです。よかった。
効果のほどは分かりませんが、サプリメントを始めました。
以前から気休め程度に使っていたんですが、今度のサプリは値段もケタが違います。
よく「xx を使ってがんが治った!」というのを目にします。
たぶん、事実なんでしょうが、万人に効くとは限りませんから、鵜呑みにしたりするのは危険です。
でも、いざ、がん患者の家族という立場になると、自分の生活を切り崩してでも、信ぴょう性が薄くても、どんなに希望がなくても、何かをやらないわけにはいかない、という心理状態になってしまいます。
もしかしたら、チプルママにも効くかもしれない。
そう思うと、後悔したくありませんし、とにかくやってみようと思いました。ダメでもとにかくやってみる、とにかく動く。そして、一緒にいる時間を増やす。
家族にできることって、簡単なようで本当に難しいです。
チプルママ vol. 3
昨日も今日も、せっせとチプルママのお見舞いです。
昨日は元気だったんですけど、今日は食事をすると胸焼けがあるらしく、昼から夜にかけてあまり食事をしませんでした。
昨日、近所のケーキ屋さんで売っている好物のチーズケーキをぺろりとたいらげてしまったからかしら。病院の食事ではなく、ニシンのぬか漬けを食べ過ぎたからかしら。
どちらにしても、今日の夜は食べ過ぎて気持ち悪くなるのが恐いみたいで、ほとんど食べず一晩様子を見ることになりました。
それでも、吐き気止めと痛み止めの点滴をしていただいたので、かなり元気に見えました。先日持っていった、とっても高価なサプリも一応飲んでくれたし。
‥‥サプリ、効いてくれないかなぁ。。。
チプルママ vol. 4
家族が患者を看病することはどういうことだろう、なんてことをフと考えてしまうことがあります。本当は、あまり考えないほうがいいと思うんですけどね。
看病するということはもちろん、患者本人に早く元気になってほしいから。その気持ちは、どんな家族の方々も同じだと思います。
でも、ときとして、それはとっても残酷だったりするんです。
家族としては、一日も長く元気に生きて欲しい、と願っています。たとえば治療がとっても苦しいものだったり痛みを伴うものであっても、なんとか乗り越えてがんばっていつかは元気になってほしい、と思ってチプルもチプルママもがんばっています。
でも、例えば「がん」のような、それもとくに治りにくい「がん」の看病となると、ある意味、一か八かの治療になってしまうことがあったりします。
抗がん剤が良い例で、チプルママの膵臓がんの完治は、よい抗がん剤が少ないようなのです。一般的に広まっている抗がん剤は、ジェムザールと呼ばれているもの。でも、外科手術後にジェムザールを使っても、ある程度の進行を押させることはできますが、完治させることは非常に難しいみたいです。
一般的な抗がん剤は、髪の毛が抜けたり味覚が著しく落ちたりします。そんな副作用とがんばって闘って生きて欲しい、痛みを乗り越えてがんばってほしい、と願うのは、ある意味家族のエゴなのかもしれません。
たとえ血の繋がった家族でも、その痛みを 100% 理解することはできませんから、「がんばれっ」というのは想像以上に簡単なことです。そんな「痛み」の分からない声をかけることの意味って、本当に声援として届いているのかな、子供として本当に親のことを思っているのかな、と不安になったりします。
でも、家族は「もっとも大切な自分の親の辛い姿を見せられる」という、違う側面で、精神的な苦痛を受けているのも事実です。そして、患者本人は、この痛みはきっと理解することができるんだと思います。患者は、病気の痛みと自分の家族に自分の辛い姿を見せている、迷惑をかけている、という二重の痛みを感じているんだなぁ、と思うと一刻も早く、この苦痛から開放してあげたい、と思います。
病気の完治という形の開放であればいいのですが、「がん」という病気のほとんどは、残念ながら別の方向での開放になってしまうことが多いんだと思います。
チプルたち家族は、けして無理強いはしたくないと思います。家族として一日も長く生きて欲しいと願いますが、もし、その気力、体力が失われてしまったとき、そのときは、本人の意思を尊重してあげたいと思います。まだがんばれる、という意志があれば、たとえどんな形であってもサポートしてあげたいと思います。
たかが「がん」という病気ごときで、家族の幸せ、自分の幸せは、けして失いたくないですからね。
看病って、自分のエゴを押し付けるのではなく、家族みんなの幸せを再確認して進むべき方向を見つめ直す、家族としての大切なシキタリのひとつなのかな、と思うようにしました。
チプルママ vol. 5
先日からの食欲不振が続き、今日も食事はほとんどしなかったみたいでした。でも、ハーゲンダッツのリッチミルクを食べたい、ということで買ってきてあげました。
食欲のないときのバニラアイスは、高タンパクで良いんですよね。栄養をとるには、うってつけです。
それに、痛み止めが効いていたらしく、ひとりでスイスイ歩けるのにはビックリ。お家にいたころは、トイレにいくのも大変だったのにね。
担当医の先生に少しだけお話を聞くことができたんですが、食欲不振は当然ながら、がんのしわざ。胃の出口あたりから全体的に腫瘍が大きくなっているらしい、とのこと。
美味しいものを食べるのが大好きなチプルママだけに、食事できなくなってしまうことだけは、避けたいです。
それでも、オススメサプリは飲んでいました。
がんばって飲んでね。
外に出られないぶん、外の風景を見せてあげようと、デジカメで写真を撮ったんです。でも、液晶パネルが小さくて、目がしょぼしょぼのチプルママは見るのが大変。
ノートパソコンを持っていくのも大変だしなぁ、と思っていましたが、こんなときこそ PSP がよいのかもしれませんね。大きな液晶で写真を見ることができますし。
そして、iPhoto と PSP を連携してくれる iPSP なるソフトを発見。おお、こりゃ便利そうです。
写真のビューワとして、本気で PSP 購入を検討してみます。今なら、普通に買えそうですし。
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